なんと、ちょうどその2日後から解体工事が始まるとあり、最後の住人たちが立ち退いた後、束の間の廃墟となっていたのだ。
東京に残されたわずかな昭和の面影。その最後の姿をしっかりとカメラに収めるべく、
ちょっとお邪魔してきた。
行き場を失う猫。これから次の居場所を探すのだろうか。
残されたものたち。
ディテールを。つい数日前まで人が住んでたとは信じがたい。
住居は主を失った瞬間に、既に廃墟の様相を呈するのだ。
存在感を放つ、アパート名物の給水塔。
夕方の光は、それぞれの家から夕食の支度をする匂いを連想させる。
魚を焼く匂い、肉を炒める匂い、煮物を煮込む匂い…
人がいなくなった今、まさに無味乾燥な空間となってしまった。
表参道、青山通りという流行の最先端をいく街のど真ん中にひっそりとたたずみ、戦後の東京の発展を静かに見つめてきたこの団地。
まさかこのエリアにこんな激渋な団地が?と思わされる、異質な空間であった。
また一つ、昭和の面影が東京から消え去ってしまった。
さようなら、青山北町アパート。(2016年11月5、6日)
開田裕治
ReplyDelete青山北町アパート
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